震災のため飼い主と離れ施設で保護されている犬たちを題材にしたドキュメンタリー番組、やってましたね。
私は途中からしか見ていません。
最初から見たかったな~・・・。
たくさんの犬が震災の影響で「施設暮らし」を余儀なくされ・・・
ということは、飼い主さんたちも、涙をのんで施設に預けていらっしゃるんですよね。
飼い主さんたちにとって大事な大事な家族だった犬たちだったんでしょうけど、
震災で受けた生活へのダメージがあまりに大きく、
施設に保護してもらうよりほかに選択肢がなかった方も多かったんでしょうね…
その施設では、時折贈り物が届くのだそうです
飼い主さんから犬たちへの小さな贈り物
首輪だったり
飼い主さんが編んだ敷物だったり
やむなく犬を手放さなくてはならなかった飼い主さんが
犬を思って用意された贈り物です
飼い主さんから送られた首輪をつけてもらった年老いたビーグル
施設の方に首輪をつけてもらった後
高い声で何度も何度も吠えました
心臓が悪いその子は
いつもは吠えることなんてほとんどなく
静かに寝そべって暮らしているのに…
敷物を送られた白い老犬は
ただただ目をとじて
その敷物に寄り添うように寝そべって
離れようとはしませんでした
きっとどちらの犬も
その贈り物から飼い主さんの匂いと今を感じ取りながら
そこにいたのだろうと思います
私も4頭の犬とくらしたことがあります
短く手も長くても
どの犬とのくらしも私にとっては大切な思い出ですが
一番長く暮らした犬との日々は
私の中ではやっぱりちょっと特別です
その子は私が小学校5年生の10月3日から我が家の一員となり
私が23歳の年の初夏、6月10日に亡くなりました
クロという名前でした
名前の通り、真っ黒 笑
でも
足の先っぽとしっぽの先と
それから胸元には三日月のように
そこだけは白い
耳は先っぽだけがちょこっと垂れて
走るとぴょこぴょこ揺れました
小さな柴犬ほどの大きさで
やさしい、かしこい、穏やかな犬でした
私がしゃがんで背中を向けると、ひょいと背中におぶさってきたり~・・・
時間がわかっているのではと思うほど、
朝の散歩に行くのが遅くなるとわんわん吠えだし、
それでも来ないと食器をくわえて顔をふり、ぽいぽいと投げ飛ばしたり~・・・
アルミの食器だからカランカランとうるさいんですよね (^^ゞ
抗議するわけですよ、私に。
「おそいぞ~~~!!」って。
さらにさらに、遅くなった私が
2階から下りてくるのを横目に(ほんとに横目で!!)眺めつつ、
おしっこを・・・・
絶対確信犯ですから(笑) それ・・・。
そうかと思えば、
私を「いたわって」くれたりもしました。
中2の夏、右腕を骨折し、秋の新人戦に間に合わないかも、と、
落ち込みつつそれでも片腕ギプスで散歩に出かけた時のこと。
いつもは、自分の力で首が閉まってしまうくらい、
引き綱をひっぱるようにして歩くクロなのに、
ふと気がつけば、私のよこっちょを、ぽとぽと並ぶように歩いていて・・・。
その日だけだったんですけどね (^^ゞ
でも、きっと、クロはなにかしら感じていたんだと思いますよ。
雑種でしたが賢い犬で、
動物と過ごすことの魅力と醍醐味をたくさん感じさせてくれた犬でした。
愛情をかけただけ、
犬はまっすぐ私たちにそれを返してくるのだと思ったものです。
だからこそ、今でも思い出すと、
懺悔の気持ちと切なさで胸の奥がきゅっとするようなできごとがあります。
大学に受かった年の春。
私が家を出ていく、朝のこと・・・
一人暮らしになればクロを連れていけないことは分かっていたはずですが、
その頃、クロのことを・・・
いや、クロを置いていくことを、
当時の私がどう思っていたのか、思いだすことができません。
憧れの一人暮らしと合格の喜びで、
私はちょっとだけクロのことを忘れていたんですね。
でも、きっとクロは違ったんですよ・・・。私とは。
その日、私は両親と大学がある街に向かうことになっていました。
荷物を車に詰め込んで、さあ、出発という時、
クロにばいばいを言いにいきました。
クロは、中庭にちょこりと座ってこちらを見ていました。
この子を置いていく寂しさがようやく現実的に迫ってきて・・・
寂しさに涙がこみあげてきましたが、
でも、家の前で車に乗って待っている家族にそんな自分を悟られまいと、
やっとのことで涙をこらて・・・
いつものように、
クロの小さな頭を両手で包んでぶるぶるぶるぶる左右にゆさぶってやりました。
いつものように。
いつものようにクロに「またね」を言い・・・
後ろ髪を引かれる思いで、
でも、行かないとと、立ちあがって歩きだしたときでした。
突然、背後で叫ぶようなクロの鳴き声がしたんです。
振り返ると、そこには、私の方に向かって跳びつこうとし、
でも、鎖に引き戻されて、
たたきつけられるように地面に落ちるクロの姿がありました。
クロはそれでもすぐに跳ね起き、激しく吠えながら、
また、こちらに向かって跳びついてくるんです。
何度も何度も・・・。
いつもと変わらぬ朝だったのに。
私がここから出ていくことを、
クロは悟っていたんですね、きっと。
新生活への希望にうかれ、
クロのことをちょっとだけ忘れてしまっていた自分と、
それを見抜いていたのかもと思うようなそんないじらしいクロの姿。
ただただ涙が止まりませんでした。
犬は、言葉こそ話しませんけど、
豊かな感情をもち、
いろいろな表情を見せ、
そして、全身で「あなたを信頼しています」と伝えてきます。
犬は、人間が思うよりずっとかしこく、情が深い。
そう思います。