新米の話  ~Mくんちのお米 おじの命日~

新米がおいしい季節になりました

 

食べ物の中で一番好きなもの・・・と言われたら

やっぱり新米のおにぎりです

 

 

海士の塩 それから梅干し

それだけで ぎゅっと握ったおにぎりの味は格別です

 

 

 

 

さて・・・

 

今日 新米を頂きました

Mくん  のお母さんが持ってきてくださいました

 

毎年秋になると 平の道路沿い

頭にタオル 紫色のヤッケの上下を着て

まめまめしく稲刈り作業を手伝うMくんの姿が見られたものでした

 

今年は Mくんの分まできっと弟さんたちががんばられたんでしょうね

 

あと1週間ほどたつと

突然にMくんが逝ってしまってから ちょうど9か月になります

 

どんなに時間が経っても

哀しみは癒えることなんかないのでしょう

 

きっと この9か月

お母さんも お父さんも 弟さんたちも それから彼女さんも

体全部 心全部の力を振り絞るようにしながら

毎日のささいなこと 1つ1つ

季節季節の行事 1つ1つ

たとえば 苗を植えたり 稲を刈ったり そんなこと1つ1つ

必死でこなしてこられたのだろう と 

お母さんのことばを聞きながら 思いました

 

わざわざ持ってきてくださった Mくんのお母さんの気持ちがありがたくて

食べてしまうのがもったいなくて

 

 

迷ったけれど・・・・

 

今日 このお米でご飯を炊きました

 

ほんとにほんとに

おいしくてありがたい 

そんな新米のごはんでした

 

 

 

 

 

 

折しも・・・・

 

今日は私のおじの命日でした

おじを見送ったのは朝でした

 早朝です

 

ことばにならない喪失感と悲しみの中

おじの姉である私の母が握った 新米のおにぎりが

早朝の病院の待合室に届きました

 

こんな時に 

食べられないよと思ったのに

涙が出るのに

なぜか 私はおにぎりをほおばっていました

 

 

こんな時に

どうして私はおにぎりを食べられるんだろう

どうしておいしいと思うんだろう

 

こんな時に 

大好きな弟とお別れだというときに

家に待機して 

私たちのためにおにぎりを握った母は

いったいどんな気持ちだったんだろう・・・・・

 

 

あれからもう8年がたちます

 

今でも新米でおにぎりを握ると

ふとあの日の朝のことを思い出して

胸がきゅっとなります

 

でも・・・

握るたびにちょっと切ない気持ちになるのに・・・

 

私はやっぱり新米のおにぎりが好きです