島後では「総社さん」として親しまれている玉若酢命神社
島後一の古社です
造営は1793年
島内でも最古級の建造物になるのだそう
もちろん
随神門などとともに国の重要文化財に指定されています
勇壮な馬入れ神事で知られる御霊会風流や
樹齢千年とも二千年とも言われる八百杉でも有名ですね
さて
この玉若酢命神社
現在
御本殿の保存修理中なのですが
その様子を見学させていただくことができました
拝殿の後ろに
すっぽり覆われた御本殿が見えますね
工事の間
ご神体は仮のお住まいとして拝殿に…
平成12年から14年にかけて
全面解体修理を行われてから17年が経過し
萱葺きの屋根の痛みが激しくなってきたのだそうで
今回は萱の葺き替えが中心です
さて
吉崎工務店のイケメン専務さんのご案内のもと
玉若酢命神社の屋根替え現場に
いざ♪
(^^)/
シートで覆われた本殿は
たくさんの職人さんたちの手に寄って
再生のまっただ中でした
古い萱をとっぱらい
丁寧に束ねて一揃にしてある新たな萱束をのせ掛けている
今まさに葺き替え真っ最中
いつもとはまた違う御本殿の姿です
作業のために横に渡してある竹に沿って
ちょこっと屋根の上に登らせていただきました
失礼いたします玉若酢命様
こんなこと
一生に一度ですな♪
スキーのジャンプコースより
傾斜きついねこれは
(;゚Д゚)
こんな傾斜だというのに
職人さんは
さして躊躇するでもなく
すとすとすとっと歩いていかれます
しかも
大きな萱束を持ったまま
こうしてみると
なんと
普通のスニーカーだということにびっくり
なんて身軽
そして
実に手際がよい♪
近年
生活スタイルや住環境が大きく変化し
隠岐の島でも茅葺屋根は本当に見なくなりました
それに伴い
屋根の葺き替えの技術をもつ職人さんも激減
前回の改修工事では
島外の茅葺職人さんに依頼し
葺き替えを行われたのだそうです
けれど
重要文化財である2つの神社
玉若酢命神社と水若酢命神社は
どちらも茅葺屋根
今後も屋根の葺き替えは必ずあるわけで
それならば…
と
吉崎工務店の職人さんが研修を重ね
屋根の葺き替え技術を習得されたのだそう
材料となる萱についても同じく
以前は島内あちこちにあった萱場が激減
島内産の萱だけでは今回の修繕に必要な量が確保できず
九州から萱を取り寄せているというのが現状
そこで
島内の萱場になりそうな所を手入れし
萱場の復活と増産を目指していらっしゃるのだとか
そういえば
全国あっちこっちで萱研究する吉崎専務さんを
Facebookの中で
お見かけした記憶があるある
( ゚Д゚)
80年後には
すべての材料を島内産で賄いたい
そう専務さんはおっしゃいました
その言葉のなんと力強いこと
80年先の姿を思い描きながら
今できることを地道に積み重ねていく…
目標が達成するその時
自分がそこにいることすらかなわないような
そんな遥か遠くにあるわけです
ゴールそのものが…
それってすごい
(;゚Д゚)
そこに向けてのアツい思い
遂行していく実行力
様々な人を巻き込んでいく術も力も必要になるでしょう
こういう思いが
この島の将来を形作っていくのだろうな…
目先のことに一喜一憂する
そんな自分をふと思い
ちょっと恥ずかしい
"(-""-)"
さてさて
茅葺作業の一段下の屋根部分では
檜皮葺きの作業が行われておりました
この作業は
兵庫の村上寺社工芸社さんから派遣されたお二人が中心となり
作業を進めていらっしゃいました
神社仏閣の屋根工事専門の請負業者さんなのだそうですよ
今やそうした職人技術は
どの分野でも貴重になりましたね
こうした技術をきちんと伝承していくこと
受け継ぐ職人集団を育てることは
その地域の文化や伝統の継承にも
大きく関わっていきます
何が大事で
何を守るべきか
そうしたことを
ちゃんと考えていかないと
人類がかつて経験したことのない、と形容されるほど
時代が大きく変わりつつある今
取返しのつかないことになりかねないな~と…
真剣に作業されるみなさんを見ながら思いました
これが檜皮(ひわだ)
そういえば
出雲大社の屋根はこの「ひわだぶき」ですね
遷宮に向けての寄付という形で
屋根にのせる檜の樹の皮を購入した記憶があります
出雲大社の屋根の上に
私の檜皮が1枚あるんだな
笑
村上寺社工芸社の職人さんは
この檜の皮を屋根に貼るオシゴトをしていらっしゃいました
とととんと檜皮を重ねて位置を定め
竹くぎをとりだして
とととととと…とそこに打ち込んでいくのですが
これがまた
とにかくスピーディー
中でも
竹くぎをとりだす様は手品のようで
思わず動画まで撮ってしまいました
作業にかかる前にまずは竹くぎを
たくさんほおばっておくのだそうですよ
そして
ととととと…と打ち込む間に
口をもぐっと動かすと
次の瞬間
口元からひょこっと釘が飛びだしてくるという
( ゚Д゚)
ええええ!?
それどんな仕組み??
(;゚Д゚)
リズミカルに進む作業はもう美しさすら感じます
その作業のスピード感とこなれ感に圧倒され
ご迷惑をかけないようにと思いつつも
ついつい凝視
(@_@)
どんなに時代が変わっていって
様々なことが人工知能やロボットにとってかわられても
人の手でしか行えないことや
人の手で行うべきこと
きっとたくさんあるのでしょう
こうした職人仕事もしかり
まさにプロフェッショナル
ちょっとだけ…なんて思っていたのに
気が付けば1時間ほども経過していたでしょうか
見事な職人さんの技術に魅せられたヒトトキでした
振り返ると
時の流れをそのまま樹姿に現したかのような
迫力ある八百杉が…
次の遷宮も
そのまた次の遷宮も
この八百杉は
ここでこうして見守っているのでしょうね
☆ 見学会のおしらせ ☆
さてこの保存修理事業の現地説明会が
町教育委員会によって
9月30日に予定されています
足場も組まれているので
こうした葺き替え作業なども間近で見ることができますよ
時間は午前10時より
お問い合わせは町教委文化振興係までどうぞ
08512-2-2126
「ご来場お待ちしております」