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大社のお正月

 

毎年京見屋分店は大晦日まで営業し

年明けの数日お休みさせていただきます

 

大晦日はちょっと早めに店じまい

 

そして

元旦から我が故郷大社へ…というのが

毎年の恒例行事

 

 

元旦にに船旅!?…と

気の毒がられたりするのですが

実はこの日はフェリーも案外空いていて

案外楽ちんだったりします

ただし

年末年始頃は荒れやすい

そこがネックではありますけどね

(;'∀')

 

 

今年は1日だけ長くお休みを頂いたおかげで

正月3日に行われる

出雲大社の正月行事「吉兆神事」を見ることもできました

 

 

大社では

「きっちょさん」と親しみを込めて呼ぶこの正月行事

 

出雲大社周辺の町内会ごとに

「吉兆幟」と呼ばれるのぼりを掲げながら

お囃子に合わせて練り歩き

出雲大社などで祝い唄を奉納

この一年の五穀豊穣や無病息災を祈るものです

 

島根県指定無形民俗文化財に指定されていて 

慶長年間から始まったとされています

 

なんと

300年近い伝統を誇るのだそうですよ

 

 

 

 

 

 

今年私の実家の町内は3年に1度の当番年

 

大社を離れて暮らす我が弟たちも

一人は広島

もう一人は神戸から

吉兆さん参加するため

大社に参集です

 

齢八十が迫ってきた父も

息子たちと一緒に参加ということで

嬉しいに違いない

 

少々力が入っているようでしたね~

  

上着を着たり脱いだり

行ったり来たり

(^.^)

 

 

我が家の息子たちも参加させたかったな~

 

 

 

 

さて

まだ辺りはちょっとだけ静かな朝の界隈

 

今年の1月3日は

残念ながらあいにくの空模様

 

このハレの日に

 冷たいみぞれをもたらす雲が恨めしい…

 

 

 

 

まずは町内の中心で

この行事のシンボル「吉兆幟」…きっちょうばん…

みんなで協力して押し立てます

 

この金襴幟旗の「吉兆幟」がまた見事

幅1mほど

高さは10mにもなるのだそう

 

中央には『歳徳神』と金糸で縫い取りされており

その周辺には龍などの縁起模様

 

 

幟のてっぺんには

お日様とお月様が描かれた扇が掲げられ

その扇を貫くように

黄金色の剣が飾られています

 

まさに豪華絢爛

 

 

 

 

そして 

その吉兆さんの幟の下

番内と言われる先払いの鬼と

町内の役どころさんたちが前に立ち

みんなで「大社神謡」という祝い唄の合唱です

 

揃いの法被をまとった地区のお年寄りから子どもまで

雪交じりの雨と冷たい空気の中

朗々と神謡を歌う様はなんともいえず厳かでしたよ

 

 

 

祝い唄の奉納が終わると

先ほどたてたのぼりをみんなで下ろし

 

 

次は地区の氏神様へ…

 

ここでもまた幟をたてて祝い唄のご奉納

 

 

 

 

 

その後は

楽隊の奏でるお囃子に合わせ

出雲大社まで練り歩きます

 

 

 

 

 

出雲大社の拝殿御本殿

 

その後

千家さん

北島さん

それぞれのポイントで

吉兆幟を押し立てて祝い唄を奉納するのです

 

 

 

 

 

3年に1度まわってくるこの吉兆さんのお当番は

もちろん町内の一大行事

 

人集めから練習

当日の行事ごとまで

みなさまのご苦労で成り立っています

 

 

 

我が家のように子ども達が遠方に暮らす家も

なんとかこれに合わせて帰省をし

吉兆さんに参加するのです

 

おそらく昔は男の子だけで編成されていただろう楽隊にも

女の子の姿が見られるようになりました

 

楽隊の練習なども

地区地区でいろいろと工夫され

後継者を育成しているのだそう

 

 

 

 

小さな時から

毎年のお正月に繰り広げられる

当たり前に見てきた光景で

でも

それをそうして伝承していくことに

どれだけたくさんの人の思いや力が注がれてきたことか

 

 

300年の時を思えば

今ここでこうして祝い唄を歌う人々の時は一瞬

 

でも

この人々のこの一瞬ひとときが無ければ

次の時間を紡ぐことはできませんもんね

 

 

 

冷たい雨に打たれ

手もかじかんでいるでしょうに

それでも演奏をやめない小さな子ども

 

力づよく幟をたてる若い衆

 

周囲への気配り声掛けを怠らない

町内のご意見番たち

 

   

冷たい雨の中

父親が

弟たちが

いつの間にかおじさんになったご近所のお兄さんが

はたまた

小さな小学生だった近所の子たちが

みんなで立てる幟はどこか誇らし気で…

みんなで歌う祝い唄はなんとも厳かで…

 

 

 

一つの伝統と文化を

暮らす者たちでしっかり守り

次へ伝えていくということの意味と偉大さを

しみじみ感じたヒトトキでした

 

 

 

 

 

 

 ☆ 番内さん ☆

 

 吉兆さんの日に欠かせない先払いの鬼

番内さん

 

その年の厄年の男衆がつとめます

 

番内さんは

がらんがらんと青竹を引きずって

親せきや知人の家々を訪問

 

「あくまんばら~~い!!」と叫びながら

家の軒先を青竹で打ち叩くのですが

そうすることで

厄年の我とその家の災いを払い清めると言われています

 

幼い頃はこれがまた恐ろしくて恐ろしくて

 

玄関先に青竹の音が聞こえると

もう慌てて右往左往

 

番内においでいただいたら

その後お神酒を出すのですが

その際は

あの恐ろしい神楽面はもちろん外されます

 

お面をとったその下に

よく知った顔が見えた時のあの複雑な気持ち

 

この季節

街角を歩く番内さんに出会うと

今でも懐かしく思い出します

 

 

 

最近は

番内衣装の貸し出しが行われ

かわいいお子様番内に出会うことがありますよ♪