津井の池から連れて帰ったアケビ
いい具合にパカッと開いて
今が食べごろとアピールしていらっしゃいます
サムライくんなんて
今にも食べたそうにしてましたからね
笑
やわらかくてちょっと透け気味の果肉に包まれた黒い種
よく見ればちょっとグロテスクな気もしないでもない
でも
これがぶらんとぶら下がっている図は
なんともかわいらしいのです
アケビにそっくりな
鳥さんの食べかけらしい
割れてしまってしわしわの小さな実も発見
色がうっすら紫色
「うべ」とか「ふゆび」とか呼ばれる木の実です
この季節
隠岐の島のあっちこっちで見かけますね
・・・・・
今日はほんとに寒かった
一気に冷え込み
空には晩秋の気配さえ漂ってどんよりと薄暗く…
こんな日は
津井の池の主に会えるかもしれませんね
というわけで津井の池伝説を調べてみました
犬来地区に伝わる昔話だそうです
・・・ 津井の池の蛇婿 ・・・
昔々
日照りが続き村々の田の水も枯れてしまって
村の衆もほとほと困ってしまったそうな
雨乞いをしたり
お祓いをしたり
あれこれ試してみたけれど
一向に雨が降る気配もない
困り果てた村の衆は
津井の池の水神さんにお願いしてみることにした
男池女池のそばにある水神さんに村の衆が集まって
どうぞ雨をふらせてくだされ
叶えてくださればどんな難しい願いごとも聞きますけん
と
お籠りしたりお百度をふんだり
一生懸命祈願したんだと
さてその晩のこと
庄屋さんが眠る枕元に立派な若い衆が出てござっておっしゃった
みなの願いを叶えてあげましょう
その代わり
10日の間に年頃の娘を人身御供に差し出すように
それを聞いた庄屋さんが
雨さえ降らせてくだされば人身御供は差出ましょう
そう答えるなり
若い衆はパッと姿を消してしまわれたそうな
その翌日
にわかに空が掻きくもり稲妻が光ったかと思うと
ゴロゴロっと雷が鳴り
やがてザアザアとしのつくような雨が降りだした
村人はやれうれしや祈りが届いたと大喜びをしていたが
その一方
庄屋さんはひとり
昨夜のことが気にかかり
人身御供を差し出さねばならぬと
年頃の娘を探し村中を訪ね歩くことにした
おまさん、頼むけん池の主のところに嫁に行ってごさんかや
庄屋さんは一人一人頼んだけれど
誰ひとりとして行くというものはいない
そうしているうちに日は一日いちにちと過ぎていき
庄屋さんは困り果ててしまった
雨はその間降り続き今度は田も井戸もあふれんばかり
このまま水神さんとの約束を破ることになれば
どんな災難がふりかかるともわからない
庄屋さんも空を見上げ ため息ばかりついておった
それを見かねた庄屋さんの一人娘かよが
水神さんとの約束がきれる前の晩
庄屋さんの前に進み出でこういった
どうぞ私を行けの主のところに行かせてください
私が人身御供になります
このままでは祟りが恐ろしくてなりません
お願いしますお願いします
庄屋さんは渋ったけれどもかよの覚悟は固く
池の主のところにかよをやることにした
庄屋さんは津井の池に行き
男池の黒ん坊よーい!
うちのかよが嫁になるてて言うけん
今夜迎えに来てございやぁ!!
と叫んだ
すると
みるみるうちに池に渦が巻き起こり
その真ん中ににゅうっと先日の若い衆が現れて
にっこり笑ってござったげな
庄屋さんは家に帰り祝言の用意をして待っていると
夜中になってあの若い衆がかよを迎えに現れこう言った
それでは約束どおりかよさんを連れていきます
ひと月の間はどんなにかよさんに会いたくても呼んでくださいますな
そのかわり
ひと月たてば好きな時に行けに来て呼んでくだされば
かよさんに会う事ができます
かよは庄屋さんに渡された手鏡をひとつ携え
若い衆と一緒に夜の闇へと消えていった
長いながいひと月が過ぎ
庄屋さんは早速池のほとりに行き叫んだ
男池女池の黒ん坊よーい
かよに会わせてごさっしゃいの~
すると
あの日のように池に渦が巻き起こり
そこにかよが半身を現し合点の合図をよこしたので
庄屋さんは急いで家に帰り
かよさんの好きなごちそうを用意して今か今かと待っていた
日がくれて当たりが薄暗くなった頃
家を出ていった時と同じ姿でかよは戻ってきた
よう戻ったなあ、と、皆で大喜びしてごちそうを食べるうち
いつの間にか夜はどっぷり更けていった
久しぶりに帰ってきたのだから
今夜は家族水入らずで枕を並べて寝ましょうと
庄屋さんが床の準備をしていると
かよはこういった
私はもうここの家のもんではありませんけん
お父さんお母さんといえども一緒に眠ることはできません
別な部屋で休ませてください
そして
どんなことがあっても
夜があけるまでは私の部屋をのぞかないでください
さて
かよが部屋に入りしばらくすると
部屋から大きないびきが聞こえてきた
庄屋さんは
はて・・・かよはこれまで
いびきをかくことなどなかったのに…と不思議に思い
かよとの約束を忘れてそーっとふすまを開けてしまった
なんと
あの美しかったかよは大きな蛇となって
七巻半のとぐろを巻き
そのうえにちょこんと頭を載せて眠っているではないか
それを見た庄屋さん夫婦は驚いたのなんの
震えながらふすまを閉め
まんじりともせず夜が明けるのを待った
明るくなってもかよは起きてこない
正体を見られてしまって恥ずかしがっているのかと
おそるおそるふすまを開けてみると
そこには
かよの姿も蛇の姿もなく
ただ一つ小さな鏡だけが残されていた
それからというもの
なんぼ池の傍で
黒ん坊ようかよようと叫んでも
渦も起こらず若い衆もかよも
ついに現れることはなかったという
とんと昔
ちょっと神秘的な気配を漂わせるこの池と周囲の林…
物悲しい伝説が語り継がれたのも
なんとなく分かる気がします
集落の先にひっそりとあるこの池を
ここに暮らす人々は
神聖な場所として大事にしていたんでしょうね
・・・ おまけ ・・・
魔法使いの杖のようなねじねじの木
鬱蒼と茂る藪の中に…