隠岐の島に台風並みの暴風が吹き荒れた金曜日
世間桜の咲き具合第一報が流れました
中村の元屋地区にある世間桜が見ごろを迎えると
町の防災無線でお知らせが流れるのです
なかなかナイスなシステムでしょう
!(^^)!
放送によれば
男桜が満開、女桜は三分咲き、とのこと…
…世間桜…
元屋の山にひっそりと咲く
樹齢600年を超えるといわれる2本の桜の老木のことを
「世間桜」と書いて「よのなかさくら」と言います
後醍醐天皇のお供として隠岐の島に来られた三光国師が
白い花が咲く男桜
薄紅色の花が咲く女桜
この2本の桜を植えられたと言われています
はるか昔
この二本の桜の咲き具合で
その年の豊凶や世の中の良し悪しを占ったのだそうで
「世の中知らせ桜」として
江戸までこの花の咲き具合が伝えられたと言われています
「今年の世間桜」はどうしても見に行きい理由があったブンテン夫婦
女桜三分咲き…が、若干気になりつつも
イチかバチか
早起きして世間桜を見に行くことに♪
元屋の集落から少し離れた裏通りの道すがらに
世間桜が咲く山につづく小道があります
この小道に沿っていくと
門番のように立つ不動明王様が待ち構え
建福寺跡地を示してくださいます
小さなお堂跡が残るだけの建福寺は
屋根も柱も苔むしてうら淋しい…
差し込む朝日に照らされ
もはや丸ごと森の一部になったかのような
ひっそりとした存在感です
そのお寺跡地から
さらに奥へといざなうようにロープが張られた山道があり
そのロープを頼りに登ってゆきます
この集落の方々が毎年こうして手入れをし
世間桜とこの山を守っていらっしゃるのでしょう
張ってあるロープはもちろん
下草や竹もさっぱり刈られている
そのおかげの、この山道です
この道を数分歩くと
両脇からせり出すようにあった竹藪の先がぽかっと開け
やわらかな薄紅色の桜が見えてきました
山の中腹の開けた斜面
手前に咲く薄紅色の大樹が女桜
その奥に
女桜より樹高が高く白い花を咲かせているのが男桜
放送で伝えていた通り
男桜は今が盛りと咲き誇り
まさに満開
女桜は枝先に今にも開花しそうな蕾をたくさんたたえつつ
まだようやく三分、四分、といったところでしょうか
…4月6日現在…
男桜と女桜は通常1週間から10日ほど
開花時期がずれるのだそうで
同時に満開ということにはなりにくいのだそう
どうせなら二本まとめて満開になった景色も
見てみたい気もするけれど…
でも
この男女のずれずれ感が
山中の古木桜のあるがままの美しさに
そこはかとない深みと味わいを添えるものなのかもしれませんね
さてさて
登り始めた頃はまだ弱かった朝の陽ざしが
男桜と女桜を交互に愛でている間に
少しずつ少しずつ力を増してきました
女桜の枝先を飾る蕾たちも
時間がたつにつれ
朝日を浴びてその色味を増していきます
桜の花の間を飛び交う小さな影はメジロかな?
チチチチっと甲高い声をふりまきつつ
枝から枝へ…
朝日が差し込む方角を向いて
集落を見下ろすかのようにたたずむお地蔵様が一体
その横のベンチで
私もちょこっとひと休みです
座っているときは気が付かなかったけれど
備えてあるベンチに座ると
このお地蔵様と仲良く並んで座っているみたいに見えるんですな
谷状になったこの地形の具合なんでしょうかね
鳥のさえずり
犬の鳴き声
6時半を告げるチャイムの音
カメラのシャッター音
ここにいると
様々な場所のいろいろな音が
サラウンド感をもって迫ってきます
そうそう
カカカカカっと小気味よく響く打鍵音も
森の奥から聞こえてきましたよ
キツツキさんのオシゴトぶりも見てみたかったけれど
残念ながら姿を見ることはできませんでした
はるか昔
江戸時代の人々が
その年の吉兆を占ったという世間桜
どれだけ眺めても
枝ぶり花ぶりから何かを読み取ることは
私にはできませんが
「令和」の時代を迎えるこの1年も
どうぞよきものとなりますようにと
二色の桜の前でこっそりとお祈りしておきました
朝日もすっかりと山の影から顔を出した頃
この世間桜を一緒に見たかったオトモダチに
「今年の世間桜」の咲きっぷりを
店長さんが早朝ライン
これが
どうしても今年の世間桜をみたかった理由のひとつ
我が家の一大任務
これにて完了です
古の人々は
この桜で占ったことごとを
江戸にまで伝えていたというけれど
いったい何日かけてその知らせは届いたんだろうと
ここに来るたびそんなことを思います
今や海の向こうのオトモダチに
一瞬にして
「いま」を届けることができる…
すごい時代になりましたね
帰り道はあっという間
元屋の里もすっかり朝
川沿いの桜も朝日に浮かび上がって
花見頃を教えてくれているようでした
・・・ おまけ ・・・
夕ぐれ時のブンテンで
思いがけなく開催された
ワンカップの宴
離島前夜の夜のはじまりに
ブンテンを選んでくださったことが
しみじみ嬉しい夜
こんな日に風邪をひいた我のへっぽこぶりが
今になっても悔やまれて悔やまれて